残業代請求をされた場合にとるべき初動対応
先程届いた内容証明郵便を開けると、そこには「残業代請求」の文字が…
2週間以内に支払わないと訴えるというようなことも書いています。
いきなりこんな請求をされて心外だ!
しかし、裁判に対応する余裕もない…
さて、どうすれば良いでしょうか。
請求額が致命的な金額ではない場合、とにかく支払って解決してしまうという選択肢が頭によぎるかもしれません。
しかし、まずは、郵便をそっと閉じて深呼吸してください。
そして、落ち着いて次の対応をしてください。
①安易に回答しない。
②安易に支払いに応じない。
③残業代の算定根拠の説明を求める。
①について
もし消滅時効が完成している場合、安易な回答は債務承認になりかねません。
たとえば、「残業代についてはもちろん誠実に対応するが、会社の財政事情も考慮していただきたい。」という回答は危険です。
どのような回答が債務承認となってしまうか、どのような回答をすれば良いかは、この分野に詳しい弁護士にご相談いただくのが最善だと思われます。
ちなみに、残業代の消滅時効は、これまで2年でしたが、2020年4月から3年となり、将来的には5年となりますので、今後はより注意が必要となります。
②について
安易に支払いに応じた場合、他の従業員にも影響を及ぼす可能性があります。
残業代が特定の従業員のみに発生しているというのは通常考え難いことです。
最終的に支払わなければならないとしても、リスクの拡大はできるかぎり防止することが望ましいと思われます。
③について
残業代は、「時間外労働時間 × 1時間あたりの基礎賃金 × 割増率」で算出されます。
そして、時間外労働時間については、たとえば待機時間(手待ち時間)の労働時間該当性が、基礎賃金については、たとえば、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当は基礎賃金に含まれるのか(これらは労働基準法施行規則21条により基礎賃金から除外されます。)といった論点があります。
これらを見極めて本来支払う必要のない費用の支払いを防止したいですね。
まとめ
今後、残業代は過去3年分、将来的には過去5年分の支払いが必要となります。
これは、今後の金銭的なリスクは1.5倍、将来的には2.5倍になることを意味しています。
このリスクは不可避ですので、できるだけ早期に適切に対処する必要があります。
残業代の請求は、就業規則、雇用契約書、勤怠管理(残業の禁止等)の見直しのチャンスです。
京都総合法律事務所では労働分野に特化した弁護士がご対応します。
ぜひご相談ください。