(宿泊業)従業員を解雇、退職させたい
宿泊業(ホテル業、旅館業)においては、休日や深夜の勤務も必要となることも多く、特に世界的な観光都市である京都では、日本中はもちろん、世界中から訪問されるお客様対応のため、高い技能とコミュニケーション能力が求められるところです。
空前の人出不足といわれている昨今においては、人材確保が難しいところではありますが、勤務態度が芳しくなかったり、能力が不十分な従業員をそのまま雇用し続けることは、より良いお客様対応こそが本質とされる宿泊業の皆さまにとっては、今後の営業に関わる大きなリスクとなります。
急な欠勤を繰り返したり、定められた時間内に作業を完了することができないなど、他の従業員に対するしわ寄せの原因となったり、お客様から繰り返して苦情を受けるなど、能力が低い従業員に直面した場合、どのように対処したら良いでしょうか。
宿泊業の多くは年中無休又はそれに近い稼働率で営業されており、毎日の業務を滞りなく継続するためには、十分な従業員を確保しておくことが必要不可欠です。
したがって、たとえ問題のある従業員であっても、すぐに退職されると困る場合も少なくなく、まして解雇を考えることは例外中の例外であろうと思います。
問題のある従業員であっても、より良い戦力として活躍できるようにするため、まずは指導をして改善につなげていくよう試みることが重要です。
そのためには、いつ、どこで、どのような問題があったかを把握の上、その都度、具体的な改善に向けた指導を行うことが必要です。
しかし、指導を繰り返しても、改善がなされなかった場合や、ホテル・旅館の評判に関わる大きな問題行動に及んだ従業員に対しては、やむを得ず、退職をしてもらわざるを得ない場合もあります。
ホテル・旅館の評判に関わる大きな問題行動に及んだ従業員に対しては、何らかの制裁の意味を込めて、懲戒解雇や諭旨解雇という方法をとるべき場合もあるかもしれません。
一般的には、懲戒解雇によって退職した従業員については、退職金の全部又は一部を不支給とする取扱いをすることを定めた就業規則や退職金規程が用いられていますが、たとえそのような定めを置いていたとしても、現に退職金の全部の支払義務がなくなるとは限らないとするのが判例の立場です。
やむを得ず退職をしてもらわざるを得ない場合でも、はたして解雇という方法をとらざるを得ないのか、それとも従業員からの自主的な退職によった方が良いのかは、他の従業員との今後の関係やホテル・旅館の信用への影響など、そこに至るまでの事情をふまえた上で判断する必要があります。
これまでスタッフとしてお客様へのおもてなしのために働いた従業員に退職してもらうためには、その従業員自身に、お客様へのサービスの観点から、自分自身に足りなかったところを自覚して納得の上で退職してもらうことが最も望ましいところです。
しかし、どうしても納得してくれず、かといって改善も期待できないような場合には、解雇という方法を採らざるを得ない場合もあります。
この場合、もともとその従業員は退職することに納得していないのですから、後日、法的トラブルとなるリスクが高いといわざるを得ません。
解雇に伴う法的トラブルに対しては、日ごろから従業員への指導態勢の確立と、その前提となる就業規則の整備が必要です。
そして、いざ解雇のやむなきに至る場合にも、その従業員に対し、どのような手順により、いかなる方法で対応をしていくべきか、表現方法、作成すべき書面の内容、後日の諸手続など、法的観点を十分にふまえて連続的に行う必要があります。
当事務所では、問題社員対策を念頭に、就業規則の整備はもちろん、個々の従業員への指導体制の確立や個別事案への対応方法について、継続的にサポートさせていただくためのサービスプランを用意させていただいています。
とりわけ問題社員対策は、所内セミナーを定期的に開催しており、毎回、好評をいただいています。
もしトラブルになってしまった場合でも、解雇をめぐる法的問題のポイントを押さえた適切な対応のためのサポートをさせていただき、今後に向けた改善策についてもご提案申し上げます。
よりよいお客様サービス提供に向けた人材の効率的な活用のため、是非当事務所にご相談ください。
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