会社法改正に伴う社外取締役設置の義務化
A) 会社法改正の概要
「会社法の一部を改正する法律」(以下「改正会社法」といいます。)が、令和元年12月4日に成立し、社外取締役の選任の義務づけを含む改正会社法の一部が令和3年3月1日より施行されました。
改正会社法327条の2において、公開会社かつ大会社である監査役会設置会社が有価証券報告書提出会社であるとき(以下「上場会社等」といいます。)は、社外取締役を置くことが義務づけられました。
なお、これに伴い、上場会社等が社外取締役を置いていない場合には、その事業年度に関する定時株主総会において社外取締役を置くことが相当でない理由を説明する義務(改正前会社法327条の2)は削除されました。
B) 社外取締役設置義務化の背景
社外取締役の設置が義務化された背景には、健全(不正行為の防止)かつ効率的(企業の収益性・競争力の向上)な企業統治(コーポレート・ガバナンス)の確立のためには、社外取締役を活用した企業経営監視が有用であるという考え方があります。
平成14年商法改正による指名委員会等設置会社制度の導入、平成26年会社法改正による監査等委員会設置会社制度の導入という法改正の流れも、このような考え方を踏まえたものです。
そして、平成26年会社法改正附則25条において「政府は、この法律の施行後2年を経過した場合において、社外取締役の選任状況その他の社会経済情勢の変化等を勘案し、企業統治に係る制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、社外取締役を置くことの義務付け等所要の措置を講ずるものとする。」と定められ、この規定に対応して、今般、社外取締役の設置が義務化されました。
実際、東京証券取引所において社外取締役を1名も選任していない上場会社の割合は、平成24年に45.3%、平成26年に35.6%であったところ、平成30年には2.3%、令和2年には1.1%となるほどまでに、社外取締役の設置は普及しています。