社外取締役・社外監査役
会社法改正に伴う社外取締役設置の義務化
社外取締役や社外監査役(以下「社外役員」といいます。)を設置する会社が年々増加しています。
これは会社法改正やコーポレートガバナンス・コードの改訂が主な原因ですが、単に義務化されたからという理由だけで渋々設置するのは実にもったいないです。
社外役員には、
・企業戦略等の大きな方向性を示し、適切なリスクテイクを支える。
・内部統制を含めたガバナンスや法令遵守等経営全般のモニタリングを通じて企業不祥事等による企業価値の毀損を避ける。
・少数株主を始めとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させる。
等の役割があり、これらを通じて、会社は、ブランド価値、レピュテーション等の社会的評価を含めた企業価値を持続的に成長させて中長期的に向上させることができます。
なお、令和3年(2021年)3月1日施行の会社法改正では、上場企業に社外取締役の設置が義務付けられました。
詳しくは令和3年(2021年)3月1日施行の改正会社法の概要をご覧ください。
社外取締役・社外監査役に求められる役割
社外取締役の役割
経営陣から独立して会社の意思決定や取締役の業務執行を監督し、経営方針への助言、経営陣の選任解任への関与、利益相反の監督、株主の意見の反映等の役割を担います。
社外監査役の役割
公正かつ客観的な視点から業務監査や会計監査を行い、取締役の職務執行が適法かどうかを監査する役割を担います。
社外役員は、これらの役割を果たすため、
①経営に関する情報収集
②取締役会等を通じての監督等
③不祥事の予防と事後対応
を行います。
これらの役割は、会社の持続的な成長と企業価値の向上、適法な経営の確保に貢献することを目的としています。
詳しくは社外取締役・社外監査役に求められる役割をご覧ください。
どのような場面で社外役員の設置が必要となるのか
大会社かつ公開会社でない限り、社外役員の設置義務はありません。
しかし、法律上の義務がなかったとしても、社外役員を設置することには大きなメリットがあります。
社外役員は、社内の利害関係やしがらみにとらわれず、第三者的な目線に立って、会社の利益拡大や企業価値の向上に努めます。会社は社外役員の意見を通して、市場が会社に求めていることがらを吸収することができます。
さらなるステップアップや事業拡大のためには、未上場の会社であっても、社外役員を積極的に設置することが有用です。
また、現段階では未上場であっても、いずれ上場(IPO)を目指す場合には、監査役会や監査等委員会を設置したりして、社外役員を選任しておく必要があり、かつ、申請前から役員会を適正に運用することが求められます。
こうした体制は、IPO時に整っていれば足りるというものではなく、原則的に直前期と直前々期の2期間にわたって求められることが通常です。そのため、3年前から準備をはじめることが必要です。今すぐにというわけではなくても、将来的にIPOを視野に入れはじめたときが、社外役員を選任すべきタイミングとなります。
詳しくは、企業のステージ毎のページをご覧ください。
・上場企業はコーポレートガバナンス・コードの見直しに対応する
・IPOを視野に入れている企業のための社外取締役・社外監査役入門
弁護士が社外役員に就任するメリット
社外役員には、企業戦略等の大きな方向性を示し、適切なリスクテイクを支え、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うことにより、ブランド価値、レピュテーション等の社会的評価を含めた企業価値を持続的に成長させて中長期的に向上させ、かつ、企業不祥事等による企業価値の毀損を避けるため、内部統制を含めたガバナンスや法令遵守等経営全般のモニタリングを行い、会社と経営陣、支配株主等との間の利益相反を監督し、また少数株主を始めとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させることや、業務執行に関与しない範囲でアドバイスを行うことが期待されています(日弁連「社外取締役ガイドライン」参照)。
弁護士は、臨床法務・予防法務・戦略法務の各場面を通じて、クライアントの事業を理解し、事実を認定し、リスクを発見してクライアントを守る存在です。
社外役員として求められる能力や資質は、弁護士が顧問弁護士としての職務や裁判等での紛争解決を通じて日常的に磨いているものです。
また、精神的独立性は、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」弁護士の使命(弁護士法1条)に通ずるものであり、士としての矜持です。
弁護士が社外役員に就任するメリットを現象面から見ると、代表的なものは次の3点です。
A) ガバナンスの強化・コンプライアンス経営の実現
B) 株主を始めとするステークホルダーに対する安心・信頼・納得
C) 法的リスクの未然防止・有事の際の迅速対応
詳しくは、弁護士が社外役員に就任するメリットをご覧ください。
当事務所の弁護士による社外役員報酬
(1)社外取締役報酬の相場
デロイト トーマツ コンサルティングと三井住友信託銀行の「役員報酬サーベイ」によれば、日本における東証一部上場の大手企業の社外取締役の年間報酬は、約700万円~約1200万円のようです。
また、朝日新聞の調査によれば、
・社外取締役の平均報酬は663万円
・全体の約2割が1000万円以上
・2000万円超は17件で、全体の0.8%
・1位は日立製作所(3944万円)、2位は岩谷産業(3900万円)、3位は住友不動産(3225万円)
とのことです。
(2)社外監査役報酬の相場
社外監査役については、日本監査役協会の調査結果によれば、
・上場会社の社外監査役(非常勤)の報酬は、200〜500万円未満が5割弱、500万円〜750万円未満をあわせるとほぼ7割
・非上場は、200万円未満が5割強、200〜500万円未満が3割
という結果のようです。
(3)当事務所の弁護士による社外役員報酬
当事務所の弁護士による社外役員報酬については、上記相場も参考に、御社のニーズや将来展望、就任させていただく当事務所の弁護士の経験や注力分野等を踏まえ、ご予算にあわせてご相談させていただきますので、お気軽にお問合せください。
京都総合法律事務所の弁護士からのメッセージ
A) 顧問弁護士としての経験
私達は、上場企業を含む約170社以上の会社及び団体と顧問契約を締結しており、その業種も日本標準産業分類における大分類のほぼ全てを網羅しています。
顧問弁護士として、日常的に企業活動の様々な経営判断に関与している経験を活かし、企業戦略等の大きな方向性を示すことが可能です。
また、数多くの紛争を解決してきた実績に基づき、紛争から逆算した適切なリスクテイクを支えることができます。
もちろん、有事の際には、解決のための最適解を迅速に追求することが可能です。
B) 法的思考を切り口に問題点を洗い出す力
社外取締役としての弁護士には、法的思考を切り口に問題点を洗い出す力が求められています。
法的思考というのは単に法的三段論法で足りるものではなく、私達が重視しているのは、確かな知識と正しい論理及び倫理に裏打ちされた正しい法的思考です。
このような正しい法的思考は一日で習得できるものではなく、また、社会や法制度等の変化に対応し、常にアップデートする必要があります。
知識も論理も倫理も絶えず磨き続けなければなりません。
私達は、事務所内外での研究会や研究発表の場としてのセミナー等を通じ、日々研鑽に努めています。
そして、磨きぬいた正しい法的思考に基づき、問題点を正確に洗い出し、企業価値を持続的に成長させて中長期的に向上させるとともに、企業不祥事等による企業価値の毀損を避けるためにガバナンスの強化とコンプライアンスの実現に尽力します。
社外役員をお探しの企業は、ぜひ京都総合法律事務所にご相談ください。
御社の課題や将来展望、お求めのスキルや注力分野、年齢層、ご予算等がありましたら、それらを踏まえて最適と考えられる弁護士をご紹介させていただきますので、お気軽にご相談ください。