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令和3年(2021年)3月1日施行の改正会社法の概要

令和3年(2021年)3月1日から改正会社法が施行されます。
今回の改正は、
①濫用的な株主提案の制限措置、②取締役の報酬決定の透明化、③会社が役員の費用や損失を補償等する制度、④社外取締役の義務化、⑤社債管理補助者の創設、⑥株式交付制度の創設であり、実務への影響もそれなりに大きいものと思われます。なお、株主への株主総会資料の電子提供については令和4年(2022年)度中に施行される見込みです。
そこで今回は、まもなく施行される①~⑥について、その概要をお伝えします。

1.濫用的な株主提案の制限措置

近年、一部の株主が多数の株主提案を行い、株主総会の運営の負担やコストが増大する事例が問題となっていました。
これまでも、ある株主が株主総会に際して114個の議案を提案等したものの、会社が当該株主の提案を招集通知に記載しなかった事案において、「個人的な目的のため、あるいは、控訴人会社を困惑させる目的のためにされたものであって、全体として株主としての正当な目的を有するものではなかったといわざるを得ない。」、「その提案の全体が権利の濫用に当たる」とし、当該株主の提案を「招集通知に記載しなかったことは正当な理由がある」と判断した裁判例があります(東京高判平成27年5月19日・金判1473号26頁)。

今回の改正では、議案の要領の通知を請求(会社法305条1項)する際に、提案できる議案の数の上限が10になりました(同条4項)。上限を超える議案が提出された場合にどの議案を排除するかは、株主が優先順位を指定した場合はその優先順位に従い、指定が無ければ取締役が選ぶことになりました(同条5項)。なお、役員の選任や解任の議案については何人提案しようとも1議案と扱われます(同条4項1号及び2号)。

 

2.取締役の報酬決定の透明化

取締役の報酬は、株主総会で取締役全員の報酬総額を決議し、個々の取締役の報酬の決定は取締役会に委ねるのが一般的な運用です。

今回の改正では、①大会社で有価証券報告書を提出している上場会社、②監査等委員会設置会社では、個々の取締役の報酬が定款または株主総会で決定されていない場合、個々の報酬の決定方針を定めることが必要になりました(会社法361条7項)。

また、報酬として株式や新株予約権を付与する場合、その上限が株主総会決議事項となりました(同条1項3号及び4号)。

 

3.会社が役員の費用や損失を補償等する制度

役員等が会社や株主から責任追及の訴えを提起された場合等において、その対応に必要な費用や賠償責任を負う場合に生じる損失等を会社が補償したり、会社が役員等のために保険契約(D&O保険)を締結したりする制度は、これまで解釈に委ねられていました。

今回の改正では、これらが制度化されました(会社法430条の2及び430条の3)。補償契約またはD&O保険の締結には株主総会や取締役会の決議が必要となり(同法430条の2第1項、同法430条の3第1項)、補償する範囲は相当な範囲に限定されることとなります(同法430条の2第2項)。なお、この取締役会決議は形式的には利益相反取引に該当しますが、同法430条の2第6項及び7項により利益相反取引には該当しないとされています。

 

4.社外取締役の義務化

コーポレートガバナンス・コードでは、上場会社は少なくとも2名以上の独立社外取締役を選任すべきとされています。また、東京証券取引所の全上場会社における社外取締役の選任比率は、令和元年7月調査時点において98.4%(市場第1部は99.9%)となっています。このように社外取締役の有用性は一般的に広く認知されているところですが、社外取締役の設置は、特別取締役を置く場合、監査等委員会設置会社である場合、指名委員会等設置会社である場合にのみ義務付けられており、それ以外は任意でした。

今回の改正では、上記に加え、大会社で有価証券報告書を提出しなければならない上場会社も社外取締役の設置が義務付けられることとなります(会社法327条の2)。

また、会社と取締役または執行役との利益が相反する状況にあるとき(MBOや親子会社間取引等)や特定の取締役または執行役が業務執行をすると株主の利益を損なうおそれがあるときは、取締役会決議により業務執行を社外取締役に委任することができるようになりました(同法348条の2第1項及び第2項)。そして、この場合、務執行を行っても社外性(同法2条15号イ乃至ホ)は失われないこととなりました(同法348条の2第3項)。

 

5.社債管理補助者の創設

これまでは、社債を発行する会社が社債管理者を設置しない場合、社債権者が社債を管理する必要がありました。

今回の改正では、社債管理補助者創設し、当該社債管理補助者に社債の管理の補助を行うことを委託することができるようになりました(会社法714条の2)。

 

6.株式交付制度の創設

M&Aの場面において、A社がB社を子会社とするために、A社がB社の株式を全部取得し、B社の株主に対してA社の株式を交付する方法があります(株式交換。会社法2条31号)。もっとも、株式交換は100%子会社化するための制度ですので、通常の子会社化の場合には新株発行の現物出資というコストを要する方法を利用するしかありませんでした。

今回の改正では、株式交付同条32号、同法774条の2以下)という方法が創設され、100%子会社化を予定しない場合であっても、A社がB社の株式を50%以上取得して子会社化する場合に、B社の株主に対してA社の株式を交付することができるようになりました。自社株を対価とする子会社化が簡便にできるようになり、新たなM&Aの手法として注目されます。

(弁護士 野﨑隆史)

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