景品表示法
目次
景表法におけるよくあるトラブル
景表法(景品表示法)は、企業が消費者に対して商品やサービスを提供する際のルールを定めています。
しかし、熾烈な顧客獲得競争の中で宣伝文句や広告における誇張が景表法違反となるケースも多々あります。
たとえば、
「来場者全員にQUOカード1000円分をプレゼント!」
「他社よりも優れた性能!」
「今だけ特別価格!」
という宣伝で集客することについて、どのような注意点があるでしょうか?
注意点がパッと思い浮かばない方は景表法トラブルのリスク大ですので、本稿をぜひお読みください。
景表法とは
景表法(景品表示法)とは、正式な法令名を「不当景品類及び不当表示防止法」といい、不当な景品と不当な表示を防止する法律です。
この法律の目的は、「商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護すること」です(景表法1条)。
このように、景表法の規制内容は、大きく分類して「景品規制」と「表示規制」の二つです。
①景品規制について
景品規制は景品類の最高額や総額等の規制です。
対象となるのは、「一般懸賞」(くじ引き、抽選券、じゃんけん、クイズ等)、「共同懸賞」(商店街やショッピングモールでの抽選会のような複数の事業者が参加して行う懸賞)、「総付景品」(商品・サービスの利用者や来店者に対してもれなく提供する金品等)の三つです。
<一般懸賞における景品類の限度額について>
・懸賞の額が5,000円未満の場合
当たった場合の景品類の最高額:取引価額の20倍
景品類の総額 :懸賞に係る売上予定総額の2%
・懸賞の額が5,000円以上
当たった場合の景品類の最高額:10万円
景品類の総額 :懸賞に係る売上予定総額の2%
<共同懸賞における景品類の限度額について>
・当たった場合の最高額:取引価額にかかわらず30万円
・景品類の総額 :懸賞に係る売上予定総額の3%
<総付景品の限度額について>
取引価額が、
・1,000円未満の場合:200円
・1,000円以上の場合:取引価額の10分の2
なお、購入しなくても来店者全員に景品を提供する場合、取引額は原則100円とされるため、プレゼントできる景品の最高額は200円となります。
②不当表示について
不当表示については、「優良誤認表示」「有利誤認表示」「指定告示」という概念について正しく理解することが重要です。
<優良誤認表示>
商品・サービスの品質、規格その他の内容について、次のような表現が景表法違反となります。
① 実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示
② 事実に相違して競争業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示
たとえば、消費者庁HPでは次のような表現がNGとして紹介されています。
①の例として、カシミヤ混用率が80%程度のセーターに「カシミヤ100%」と表示した場合
②の例として、「この技術を用いた商品は日本で当社のものだけ」と表示していたが、実際は競争業者も同じ技術を用いた商品を販売していた場合
優良誤認表示について詳しい解説はこちらから
広告規制入門・景品表示法編「優良誤認表示 その広告、措置命令の対象かも」
<有利誤認表示>
商品・サービスの価格その他取引条件について、次のような表現が景表法違反となります。
① 実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
② 競争業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
たとえば、消費者庁HPでは次のような表現がNGとして紹介されています。
①の例として、当選者の100人だけが割安料金で契約できる旨表示していたが、実際には、応募者全員を当選とし、全員に同じ料金で契約させていた場合
②の例として、「他社商品の2倍の内容量です」と表示していたが、実際には、他社と同程度の内容量にすぎなかった場合
有利誤認表示について詳しい解説はこちらから
広告規制入門・景品表示法編「有利誤認表示 その広告、課徴金の対象かも」
<指定告示>
社会問題になった一部の表現については、内閣総理大臣が特に指定して規制をしています。
これまで、
・無果汁の清涼飲料水等についての表示
・商品の原産国に関する不当な表示
・消費者信用の融資費用に関する不当な表示
・不動産のおとり広告に関する表示
・おとり広告に関する表示
・有料老人ホームに関する不当な表示
の6つが指定されていましたが、2023年10月1日からステマが指定告示に追加されました。
指定告示について詳しい解説はこちらから
広告規制入門・景品表示法編「指定表示 その広告、おとり広告かも」
景表法違反におけるリスク(措置命令と課徴金納付命令)
景表法に違反した場合、処分(措置命令や課徴金納付命令)を受けるリスクがあります。
また、これらを受けた場合、どのような広告表現が問題となり、どのような処分を受けのかについて消費者庁はHPで積極的に公表していますので、信用問題にもなります。
措置命令とは、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどの措置を講じることの命令です。
さらに、指定告示以外の不当表示について、原則として課徴金納付命令を受けます。
課徴金の金額は、原則として「課徴金対象期間」における課徴金対象行為に係る商品・役務の売上額×3%と算定されますので、経済的に大きなダメージを受けます。
景表法について弁護士に依頼するメリット
このように、景表法違反となる広告表現は一義的に明確でなく、措置命令を受けるか否かは、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるかという消費者庁の価値判断にゆだねられている部分があります。
せっかく行ったプロモーション活動も措置命令の対象となってしまっては、それまでに費やした費用と時間が無駄になってしまいます。
広告チェックを弁護士に依頼することで、過去の措置命令との比較や消費者庁の最新動向も踏まえた広告表現が可能となり、広告戦略が台無しにならないことを防止することができます。
当事務所のサポート内容
当事務所では、広告戦略のリスクを最小化するため、広告チェックサービスをご提供しています。
広告チェックサービスでは、御社の広告が景表法や薬機法に抵触しないか、弁護士がチェックいたします。
電話やメールだけでなく、ZoomやChatworkでのアドバイスも可能です。
広告チェックレポートはこのような形でご提供させていただきます。
広告チェックサービスの費用は次のとおりです。
〇スポットでのご依頼
・基本:1広告あたり2万7500円(税込み)
広告内容を検討し、景表法や薬機法に抵触する部分の指摘を行います。
※A4で8ページ以上の広告については別途ご相談
※オプション:+2万7500円(税込み)で代替表現をご提案させていただきます。
〇継続的なご依頼
・月額5万5000円(税込み)で月2広告までご対応
3広告目以降は1広告あたり2万2000円(税込み)でご対応
リスクチェックだけでなく代替表現も追加費用無しでご提案します。
※A4で12ページ以上の広告については別途ご相談
※広告数やページ数が多い場合はこちらの方がお得です。
〇セミナー
景表法や薬機法の勘所がわかるセミナーも実施しています。
社内向けセミナーへのアレンジも行いますので、お気軽にお問合せください。