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著作権に関する契約書を作成する際の注意点

今日、企業やクリエイターにとって、著作権の管理と保護は重要な課題となっています。

著作権に関する契約書を作成することは、著作物の利用に関する権利と義務を明確化し、紛争を予防するために不可欠です。

以下では、著作権に関する契約書作成の際の注意点を詳しく解説します。

1.著作権に関する契約書の必要性

契約時に契約書を作成せず、口約束等で条件を決めてしまうと、後々内容について「言った」「言ってない」で揉めるリスクがありますし、重要な事項についての合意が抜け落ちていたり、曖昧な契約内容となっていることで、不測の不利益を被る可能性があります。

したがって、合意内容を書面にし、ポイントを押さえて、明確に記載する必要があります。

2.著作権に関する契約の種類

著作権に関する契約は様々ですが、代表的なものとして以下のものがあります。

⑴ 著作権譲渡契約

著作権者が他者に著作権を譲渡する際の契約です。

なお、著作権を譲渡する場合でも、著作者人格権は移転しないことに注意する必要があります。

⑵ 利用許諾契約(ライセンス契約)

著作権者が、他者に対して著作物の利用等を許諾する際の契約です。ライセンス料やライセンスの範囲、ライセンス期間などを定めます。

⑶ 制作業務委託契約

外部のクリエイター等に著作物の制作を依頼する場合に交わされる契約です。著作物の制作条件(依頼内容、納期、報酬金額等)や制作された著作物に関する権利の帰属などについて定めます。

その他にも、共同研究開発契約など様々な契約があり、契約の目的に沿って組み合わせることもありえます。

3.著作権に関する契約に共通する注意点

⑴ まず、どの契約にも共通する注意事項として、「権利の範囲」や「報酬(ロイヤリティ)」について明確に定めることが必須です。

⑵ また、契約する前提として、契約の対象となる著作物が他人の知的財産権を侵害していないか、類似品が存在していないかどうかを確認することも重要となります。

契約において創作者に第三者の権利を侵害していないことを保証させる表明保証条項を設けることも一般的に行われています。

⑶ さらに、著作物に関係する法律は著作権法だけではなく、場合によっては、不正競争防止法や意匠法、特許法、独占禁止法などが適用される可能性もあります。

したがって、関係法令にも適合する内容にすることが必要です。(例えば、過度に一方当事者のみに有利な契約条件は、独占禁止法で禁止される「不公正な取引方法」に該当することもありえます。)

⑷ そのほかにも、ライセンスの対象に秘密情報が含まれる場合等には、秘密保持義務について明確に定めておくことなども必要になります。

以上が、著作権に関する契約に共通する代表的な注意事項でした。

4 代表的な契約類型ごとの注意点

続いて以下では、典型的な契約類型ごとに注意すべき点をご説明します。

⑴ 著作権譲渡契約について

① 権利の範囲について

著作権は、その一部でも譲渡することができるため、譲渡の範囲を明確にしておく必要があります。なお、一部というのは、支分権(複製権、貸与権、翻案権等)のことをいうと解されます。

また、著作権法第27条に定める権利(翻訳権・翻案権等)及び第28条に定める権利(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)も、譲渡の対象に含まれることを明記しなければ譲渡されませんので、注意が必要です。

また、著作権を譲渡しても、著作者人格権は譲渡されず創作者に帰属しますので、著作者人格権の不行使についても定める必要があります。

② 報酬について

⑵のライセンス契約と同様に、報酬の定め方については様々な方法があり、きちんときめておくことが紛争の予防のために重要です。

③ その他

共有に係る著作物については、共有者全員の同意を得なければ持分を譲渡することができない(著作権法65条1項)ため、著作権の共有者がいないかどうかにも注意する必要があります。なお、著作権が共有の場合、共有者全員の合意によらなければ行使することができませんので、そのような意味でも共有となっていないかの確認が必要となります。

また、著作権の譲渡は登録しなければ第三者に対抗(主張)できない(著作権法77条1項1号)ため、譲渡の登録についても合意しておくことが考えられます。

⑵ ライセンス契約についての注意事項

① ライセンスの範囲

一口に“ライセンス”といっても、その内容は様々です。ライセンス契約締結の目的に照らして適切なライセンスを設定し、契約書においてその範囲を明確にしておくことが重要となります。

例えば、利用主体に注目すると、単にライセンシー(許諾を受ける側)のみに利用を許諾する場合、ライセンシーに対しさらに第三者に利用許諾することを認める場合があります。また、ライセンシー以外の者には著作物の利用を許諾しないという独占的なライセンスを設定することもあります。

また、著作物を利用できる地域・期間の限定、利用できる範囲の限定、著作物の改変の可否及び範囲等を定めるのが一般的です。

② 報酬について

ライセンス料の定め方としては、一時金で支払う方式と、売上や複製枚数に応じて一定の料率の金額を支払う方式、利用の有無・程度にかかわらず毎月一定額を支払う王式があります。

いずれの方式でも、金額や料率は当事者間で協議して定めることになります。

③ その他

第三者がライセンサーの知的財産権を侵害した場合の対応策を明確にしておくことも必要です。権利者が第三者の侵害行為を放置していると、ライセンシーが本来得られたはずの経済的利益が得られなく可能性があるからです。

また、利用契約終了後の措置として、ライセンス契約に基づいて制作した複製物等の廃棄や消去等を定める条項を加えることもあり得ます。

⑶ 制作業務委託契約についての注意事項

① 委託者に著作権を譲渡する場合

外部のクリエイター等に著作物等の制作を委託した場合、著作権は原則として創作者に帰属します。したがって、委託者に著作権を帰属させることを希望する場合、契約で定めておく必要があります。

また、受託者が著作物を制作する場合、契約前から受託者が保有していた著作物を利用する場合もあります。受託者としては、自社の著作物に関する権利は留保しておきたいので、委託者に譲渡する著作権の範囲(著作物のどの部分を移転し、どの部分を移転しないのか)を明確にしておく必要があります。

その他、翻案権・翻訳権等、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利、著作者人格権の不行使に関しては、著作権譲渡契約の注意事項で述べたとおりです。

② 受託者に著作権を帰属させる場合

この場合には、委託者が自由に著作物を利用できるように、契約でライセンス条件を定めておく必要があります。この点は、ライセンス契約の注意事項で述べたとおりです。

③ 報酬

著作権譲渡の対価が含まれるかどうかにより金額が異なってきます。

契約当事者間で協議し、適正な金額を定めましょう。

5.既存の契約書に著作権に関する事項を追加するには

既に締結された契約内容を変更する場合にも、既存の契約書を修正する契約書を作成しておく必要があります。

注意点については、基本的には最初の契約書締結の場合と同様であり、変更の内容・期間・範囲等を具体的に合意しておくことが必要です。

6.当事務所のサポート内容

当事務所では、著作権に注力している弁護士チームによる契約書の作成・リーガルチェックのサポート体制を整えております。

著作権が絡む契約を結ぶ場面では、

・対象となる著作物は何か

・譲渡人は本当にその権利を有しているか

・譲受け等に際して何か制約は無いか

・制約がある場合、それはどのようなものか

・契約後は自由に使うことができるのか

・できないのであれば何に気をつけなければならないのか

・自分が権利者であることを第三者に対して主張するためにはどのような要件を満たす必要があるか

等のチェックポイントを確認し、それを契約書に落とし込んでいく必要があります。

このような作業は著作権に関する十分な知識が必要となりますので、見様見真似やネット上で取得できる雛形を流用することはおすすめできません。

また、契約書は紛争になった際にこそ効果を発揮するものですので、相手が提示した契約書にそのままサインすることは大変危険です。

著作権に関する契約書を作成する場面こそ、著作権にまつわるトラブルを未然に防止するため、弁護士に書面作成を依頼したり、リーガルチェックを受けていただいたりする絶好のチャンスです。

著作権に関する契約書の作成・リーガルチェックの費用の目安は次のとおりです。

① 契約書の作成

・定型的なもの5万円(税別)~

・非定形なもの10万円(税別)~

② 契約書のチェック

・定型的なもの3万円(税別)~

・非定形なもの5万円(税別)~

※ 対象となる権利の価値、契約目的、リスクの内容、納期等を踏まえてご提案させていただきます。

なお、「リーガルサポートプラン・スタンダード」(月額10万円・税別)

をご契約いただいた場合、

・来所、Web、メール、チャットでの法律相談が無制限

・高難易度等を除く契約書等のリーガルチェックを無制限で対応可能

・年1回程度の研修が無料

となり、万全のサポート体制が整います。

当事務所の「リーガルサポートプラン・スタンダード」(月額10万円・税別)の詳細はこちら

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