建設工事請負契約作成のチェックポイント
1 請負契約について
請負契約は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の完成(結果)に対し報酬を支払うことを約する契約です。
したがって、請負契約では、原則として仕事が完成しなければ報酬を請求できません。
報酬は後払いが原則ですが、仕事の目的物の引渡しと引き換えに報酬を支払う場合もあります。
2 約款の利用について
建設工事では、「民間(旧四会)連合協定工事請負約款」をそのまま利用し、契約を締結する場合があります。
しかし、工事の規模・種類・取引相手等次第では約款をそのまま利用することが適切でない場合がありますので、約款を確認し、見直すべき点があれば、契約の相手方に伝えるようにしましょう。
3 代金の支払方法
請負契約の報酬は後払いが原則ですが、建設工事の場合、仕事の完成までに一定期間を要するのが一般的です。
その間、報酬が支払われなければ、請負人は材料費、労務費等を自腹で負担しなければなりません。
それでは支障があるため、建設工事の請負契約では、①着工時、②棟上げ時、③完成引渡時に分けて報酬を支払うのが一般的です。
4 工事内容・代金額を明確に合意すること
建築工事に関しては、設計・材料・仕様等が様々であることから、契約書で細部にわたるまで明確に定めておかなければ、契約内容が何かについて後に紛争が生じることがあります。
このような紛争を避けるために、契約書に見積書・設計図面・仕様書等を添付し、いかなる内容で契約したかを明確にしておきましょう。
5 追加・変更工事の契約はその都度書面で行うこと
建設工事の請負契約では、追加・変更工事が生じることがままあります。
現場で追加・変更工事について合意し、合意内容が書面化されていない場合、追加・変更工事代金を請求できなくなる可能性があります。
したがって、追加・変更工事が生じた場合、その都度工事内容及び代金額を書面で合意しておくようにしましょう。
6 担保責任の行使期間
民法の改正により担保責任の行使期間等が変更されます。
改正後は、注文者が契約の不適合の事実を「知った時から1年以内」に請負人に通知する必要があります。
これにより、注文者は請負人に対し、履行の追完請求、報酬減額請求、損害賠償請求等を行うことができます。
また、住宅の品質確保の促進等に関する法律では、新築住宅の請負契約に関し、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について引渡しから10年間の担保責任が定められていますが、民法改正を受け、注文者がその不適合(瑕疵)の事実を知った時から1年以内に当該事実を売主に通知しないときは、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができなくなりますので、注意が必要です。
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