【解決事例】未払いの請負代金を回収した事例
相談内容
当社は,元請業者から電気工事を請け負いました。電気工事が7割程度終了した段階で,現場で保管していた工事材料が盗難に遭いました。元請業者による現場のセキュリティ対策が杜撰であったことによるものです。また,元請業者は,請負契約上,材料の保管責任が下請業者である当社にあると主張し,材料の盗難について当社が損害賠償責任を負うとして下請工事代金を支払ってくれません。
解決内容
訴訟を提起する前提として,元請業者がどの金融機関のどの支店に預金口座を有しているか,見当をつけ,仮差押命令申立てを行いました。その結果,一部の金融機関について元請業者の預金を仮に差し押さえることができました。
その上で,元請業者に対し,未払請負代金の請求訴訟を提起し,材料の保管責任の所在について争いました。訴訟では,請負契約締結に至る経緯や請負契約の条項の解釈が問題となりました。また,元請業者は,現場において門扉を厳重に施錠する,防犯カメラを設置する,材料の保管場所に施錠を行う等のセキュリティ対策を行うべき義務を負っていたにもかかわらず,これを怠ったため,材料の盗難事故が発生したことも主張しました。
訴訟活動の結果,材料の保管責任が元請業者側にあるという前提で,下請業者側は保管責任を問われず,未払いの請負代金のうち相当額を支払ってもらうという和解が成立しました。
担当弁護士の所感
工事現場でケーブルやパネル等の盗難事故が発生することがしばしばあります。
材料の保管責任の所在がはっきりしない場合,裁判に発展することもありますので,必ず請負契約書で明記するようにしましょう。
また,材料の盗難事故に備え,契約上,材料の保管責任を負う場合,保険に加入しておくことも重要です。建設工事中に生じた事故による損害を広くカバーする建設工事保険もありますので,工事に入る前に保険加入の有無を確認するようにしましょう。
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