未上場企業に社外役員をおすすめする3つの理由
我が国の企業の経営は、長年の間、社内生え抜きの人材によって担われることが当たり前でした。しかし近年、取締役や監査役といった役員について、あえて社内と関わりをもたない人材から登用する、いわゆる社外役員の仕組みを採用する企業が急激に増え、上場企業においては、社外役員を選任することは、すでに法律上の義務となっています。
社外役員の仕組みは、コーポレートガバナンス強化のために有用です。上場企業の場合、コーポレートガバナンス強化の必要性は、株主との関係で意識されることが多く、社外役員の選任が法律によって義務付けられている重要な根拠の一つにも挙げられます。
しかし、コーポレートガバナンス強化の有用性は、上場企業特有のものではありません。未上場企業でも、法律上の義務があるかどうかにかかわらず、既に少なくない企業が社外役員の登用を始めています。オーナー企業であり、かつ従業員人数が21人から50人という比較的身近な規模の会社であっても、14%程度で社外役員が活躍しているという統計もあります(2018年「中小企業白書」第1-4-16図)。
未上場企業に社外役員をおすすめする大きな理由は次のとおりです。
社会情勢に乗り遅れない経営
IT技術が加速的に大衆化した現代社会では、人々の価値観も極めて多様化したため、トラブルを防いだり解決するための様々な法規制やルールが目まぐるしく進化しています。かつては常識と思われていたことが、今では通用しないということも当たり前のように起こります。
競争の激しい現代社会では、むしろ未上場企業だからこそ、コーポレートガバナンスを強化して、社会の情勢をスピーディに吸収して対応することが、生き残りのために必要不可欠であるといえます。
専門的知見の日常的な供給
未上場企業において社外役員を登用するメリットは、日常的に外部の知見を得ることができるという点にあります。
従来においても、顧問やコンサルタントという方法によって、外部の知見を得ること自体は行われていました。しかしこれらの方法では、企業側からの求めがあった場合に、第三者的な観点から助言や意見をするという態勢がとられていることが一般的です。
社外役員はこれらとは異なり、その企業の経営陣の一員としての立場から、日常的に経営状況を踏まえた上で、自らの専門的な知見を能動的な意見を提供することが期待されます。
経営への市場目線の反映
社外役員は、社内に固有の人間関係と距離があるため、心情的な事情に左右されることなく、会社が現在置かれている状況をふまえた、客観的な意見を提供できる立場にあります。その目線は市場に近いものであり、社外役員を登用することによって、社内からでは見えにくい市場の声を経営に反映することが期待できます。我が国に先んじて、アメリカでは社外役員の登用が常識的に行われていますが、そこで最も重視されているのは、自社の経営を外から見たときにどのように評価されるか、という分析を常に行うことができるという点です。
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当事務所では、1976年の開業以来、地元京都を中心に様々な法律問題に取り組み、上場企業を含む約100社以上の会社及び団体と顧問契約を締結し、法律サービスを提供させていただいています。
法律問題は、時代の社会情勢を代表する縮図であり、市場の何が求められているかを分析するための重要な資料でもあります。激動の時代を乗り越え、さらなる発展のため、社外役員の登用をお勧めします。
御社の課題や将来展望、お求めのスキルや注力分野、年齢層、ご予算等がありましたら、それらを踏まえて最適と考えられる弁護士をご紹介させていただきますので、お気軽にご相談ください。
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