NTTドコモ、「アハモでギガホ勧誘」は景品表示法(景表法)違反?
2021年3月26日からはじまったNTTドコモのahamo(アハモ)。
私も個人的に注目しており、これを機にプランを見直そうと考えていました。
そんな折、インターネットニュースで「ドコモに景表法違反との指摘」、「ドコモ、『アハモでギガホ勧誘』景表法違反か」という記事を目にしました。
どうやら、ドコモは、ドコモショップを営む携帯販売代理店に対し、アハモを前面に押し出して客を勧誘し、アハモではなく「ギガホ」に誘導するように指示をしていたようです。
しかも、ドコモの内部資料では、この手法を「アハモフック」と呼んで、マニュアル化までしていたとのことです。
ニュース記事では、この手法が景表法違反ではないかと指摘されていました。
ここに出てきた「景表法」とはどのような法律でしょうか。
景表法とは、正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といい、「商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする」法律です(景表法1条)。
そして、景表法5条3号で「商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの」を禁止しています。
この「内閣総理大臣が指定するもの」として、「おとり広告に関する表示」により、商品・サービスが実際には購入できないにもかかわらず、購入できるかのような次の表示を不当表示として規定しています。
(1) 取引の申出に係る商品・サービスについて、取引を行うための準備がなされていない場合のその商品・サービスについての表示
(2) 取引の申出に係る商品・サービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示
(3) 取引の申出に係る商品・サービスの供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示
(4) 取引の申出に係る商品・サービスについて、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品・サービスについての表示
ニュース記事を前提にしますと、アハモフックは、「取引を行うための準備がなされていない場合のその商品・サービスについての表示」や「実際には取引する意思がない場合のその商品・サービスについての表示」として景表法が禁止する「おとり広告」に該当するということになりそうです。
総務省が主導した携帯電話の値下げの動きの中で、ahamo(アハモ)が発表された際、ドコモはかなり頑張ったと感心していました。
それがスタート初っ端からこのような形でニュース記事となったことは大変残念ですし、ブランドイメージに大打撃だったのではないかと思われます。
景表法は事業者としては避けて通れない法律ですが、景表法への対応が十分にできている事業者はそれほど多くありません。
「あくまで個人の感想です。」と書けば免責されるわけではありませんし、セール価格の表示も景表法の要件を満たしていないことが多いです。
ちょうど、当事務所も、2021年4月13日に経営者・担当者向けセミナー「景品表示法・広告規制の実務 その広告大丈夫ですか?」を実施しますので、この機会にぜひご参加ください。
約1時間で、景表法の基礎知識をお伝えするとともに、実際に措置命令や課徴金納付命令を受けた事案を説明し、改善方法も示してみます。
セミナーの詳細は下記URLをご覧ください。
https://kyotosogo-law.com/post-3502/
これもアハモフックみたいなものですかね…(苦笑)
でも、絶対に有益なセミナーにする決意は本物です!
(弁護士 野﨑隆史)
京都総合法律事務所は、1976(昭和51)年の開所以来、京都で最初の「総合法律事務所」として、個人の皆さまからはもちろん、数多くの企業の皆さまからの幅広い分野にわたるご相談やご依頼に対応して参りました。経験豊富なベテランから元気あふれる若手まで総勢10名超の弁護士体制で、それぞれの持ち味を活かしたサポートをご提供いたします。