事業承継、事業譲渡、M&A
事業承継とは
「事業承継」とは、会社の事業を後継者に引き継ぐことです。
抽象的に事業承継を考えているものの、「何から手をつければ良いか分からない」ということも多いと思います。
そんなときは、①誰に、②いつ、③何を、④どのように引き継ぐのかに分けて検討すると、今すべきことが見えてきます。
①誰に
候補は、親族、内部(親族外の役員や従業員)、外部の大きく3つのグループに分けられます。
最近の潮流は、親族内承継→親族外承継です。
親族内承継の割合は急速に低下しています。
中小企業庁によると、かつて(20年以上前)は親族内承継:親族外承継=85:15でしたが、最近は、35:65と逆転しています。
後継者を親族内や内部に求める場合は、目利きと育成が大きな課題となります。
後継者を外部に求める場合は、探索が大きな課題となります。
②いつ
事業承継には年単位での準備が必要です。
そして、準備は早ければ早い方が良いです。
この記事をご覧になっているのであれば、事業承継の準備に取り掛かる良い機会だと思います。
まずは法律相談を通じて「大きなイメージ」や「これから何をすべきか」を掴んでください。
③何を
承継したいのは資産や得意先でしょうか。
従業員はどうしますか。
理念や想いはどうしますか。
それぞれに応じた最適な方法があります。
④どのように
株式、不動産の所有権、知的財産、従業員との雇用契約、取引先との契約等々はどのように引き継ぐのが良いでしょうか。
売買契約、贈与、事業譲渡、M&A等々、それぞれに応じた最適な方法があります。
ご希望に沿った事業承継を円滑に行うためにも、まずはこちらから相談予約をしてください。
事業承継、事業譲渡、M&Aは増加傾向
近年、事業承継、事業譲渡、M&A(以下ではこれらをまとめて「M&A」と言います)の件数は増加しています。
M&Aは事業を承継し、さらにステージを引き上げるために非常に有効な手法です。
M&Aとは何でしょうか。
「Mergers」and 「Acquisitions」の略ですから、直訳すると「合併と買収」となりますが、単に物の売買契約を締結することとは大きく異なります。
身近な例で言えば、知人の紹介で知り合い、少しずつお互いを知って恋愛関係に発展し、デートを重ねてより深く理解し合い、結婚に至るというイメージをもっていただければ良いかと思います。
他人同士が一緒になるわけですから、慎重な見極めが必要です。
かと言って、石橋を叩きすぎては割れてしまいますし、逃した魚は大きかったということにもなりかねません。
売主と買主との間に情報の非対称性がある中で、慎重かつ大胆な決断が必要です。
特別な才能があれば、その決断を勘や嗅覚だけで乗り切ることができるかもしれません。
しかし、誰もがそのような才能に恵まれているわけではありません。
才能の有無ではなく、事前の周到な準備の有無により明暗ははっきり分かれます。
魅力的であっても避けるべき相手というものはあり、おさえるべき事項をきちんとチェックしておけば、「それを知っていれば結婚しなかったのに・・・」という事態を最大限回避することができます。
たとえば、支配権の変更に伴うリスク、人材が流出するリスク、簿外債務リスク、税務リスク、ライセンスリスク、刑事リスク、環境リスク、反社リスク等をデューデリジェンスにより顕在化し、それを合意事項に反映し、相互理解のもとでより良い合意に至ることは(または勇気ある撤退をすることは)、Win-Winかつ双方ハッピーなM&Aを実現する鍵となります。
そのためにも、M&Aの各場面で最適なアドバイスを受けられる体制が必要です。
売主側・買主側のメリット
売主側のメリットは次のような点が考えられます。
①売却益の確保、経営地盤の強化
②個人保証からの解放
③従業員の雇用の確保
④後継者問題の解決
他方、買主側のメリットは次のような点が考えられます。
①人材、施設、立地の確保
②事業拡大、ノウハウの獲得
③低コストでの参入
M&Aの基本的な流れ
M&Aの基本的な流れは次のとおりです。
①売主と買主がそれぞれのアドバイザー(仲介会社等)への相談、契約
↓
②秘密保持契約
↓
③売主と買主とのマッチング
↓
④基本条件の提案
↓
⑤トップ面談
↓
⑥基本合意等の締結
↓
⑦デューデリジェンス(法務監査、会計監査)の実施
↓
⑧最終合意
↓
⑨クロージング(合意内容の実行)
M&A成功のチェックポイント
M&A成功のチェックポイントをいくつか挙げておきます。
・M&Aの目的の明確化
何のためにターゲットとなる事業を買うのか、何のために売るのかを明確にすればする程、契約条件において重視すべきポイントとそうでないポイントが明確になり、M&Aの成功率が格段に上昇します。
・立地条件、施設の現地調査
アクセスや改装に要するコストと時間の見極めは、やはり「百聞は一見に如かず」です。現地調査もしないまま机上で行うのは大変危険です。
・集客機能の調査
まずはメインとなる顧客層を狙いどおりに囲い込むことができているかを調査しましょう。
また、近年はWebからのお問い合わせも重要なマーケットですので、ホームページの導線や予約フォームの整備等の調査が必須です。
・収益率やコスト管理の確認
M&Aによる経営主体の変更は、サービスの料金体系の見直しによる収益率の上昇、業務の機械化、外注化、仕入原価の削減、廃棄率の抑制等によるコスト管理を行うチャンスです。
・許認可や権利の確認
既存の事業をM&Aで取得して引き継いで営む場合、新たな事業者のもとで許認可等を取得する必要がある場合もあります。
・デューデリジェンスの徹底
たとえば、ホテル・旅館のM&Aにおいては許認可や権利を意識したデューデリジェンスが必要です。
前事業者が許可を取得した後、施設の改装・改築・増築等を行ったり、消防法に基づく点検に不備があったりすると、許可申請の際に思わぬ落とし穴に落ちる可能性もあります。
許認可以降に法律や条例等が改正されたことによって許可基準を満たさない場合もあります。
そもそも現状有しているはずの許認可が正当なものか否かの調査も必要となります。
ここは弁護士の腕の見せ所ですので、必ずM&Aに精通した弁護士を選択してください。
M&Aの成立後のトラブル対策も万全に
買主にとってM&Aの成立はスタートであってゴールではありません。
その後も、従業員の離職、取引先や顧客の確保、契約書内容との相違、簿外債務の発覚等、様々なトラブルが生じるでしょう。
しかし、これらは、会社の実情に詳しい弁護士に臨機応変に対応できる体制を構築しておくことで、損害を最小限度に食い止めることができます。
私達には、数十年に亘る経験を通じ、あらゆる業種で数多くのM&Aや企業再編をサポートさせていただいた実績があります。
当事務所では、様々な事業のM&Aに際して必要となる知見を備えた専門チームにより、充実したサポートをご提供することができます。
ぜひご相談ください。
関連ページ
▶民事再生
▶企業破産