臨床法務・予防法務・戦略法務
近年,弁護士が提供する法的サービスを臨床法務,予防法務,戦略法務に分類して捉える考え方があります。
各用語について明確な定義はありませんが,その内容は,概ね次のように整理できます。
臨床法務 現実に発生している裁判やその他の法的紛争に対処すること
予防法務 将来の法律問題,法的紛争を避けるために,事前に法的な対策を講じること
戦略法務 法的知見を経営戦略等に積極的に活かすことで効率的経営を実現すること
具体的には,現に,取引先が支払いをしない場合にその債権回収を行うことや,元従業員から未払残業代の請求を受けた場合にその対応を行うことは臨床法務に分類されます。
取引先から代金を支払ってもらえない場合に備えた契約書を作成することや,法令に基づいた労務管理体制を構築することなどは予防法務に分類されます。
これらに対して,戦略法務とは,そもそも代金の未払いが生じないようにするため,取引先との提携スキームの策定段階で弁護士が関与することや,雇用の段階(正規か非正規か,無期か有期か等)で経営戦略に法的知見を加えて意思決定をすることをいいます。
多くは,現に法的紛争が生じた段階(臨床法務の段階)で,その解決を弁護士に依頼されることが多いかと思いますが,一般的には,臨床法務における弁護士費用は経済的利益の数%~十数%と多額になり,相手方に資力がない場合には勝訴しても回収ができないというリスクがあります。
そのような意味で,臨床法務においては,コストやリスクが大きくなる可能性があります。
また,予防法務が不十分だと,同じような法的紛争が繰り返されてしまう可能性もあります。
予防法務は,このようなコストやリスクを最小化する効果を持ちます。
そして,戦略法務は,コストやリスクを減らすという予防法務の効果をさらに一歩進め,経営判断に関与することで,その経営効果の最大化や経営の効率化を図ることを目的とします。
予防法務や戦略法務については,平時から弁護士が企業様の内情を理解しておく必要がありますので,一般的には顧問弁護士という形で関わらせていただくことが多いと思われます。
当事務所では,予防法務にとどまらず,顧問弁護士の役割を戦略法務まで高めるため,顧問先企業様の就業規則等の社内規定のリーガルチェックや作成,取引先との契約内容やその履行状況のリーガルチェック,リスク判断等を行うことをはじめ,企業様の“次の一手”のご相談に至るまで,幅広くかつ深く関与させていただくことを重視しております。
顧問弁護士をお探しの企業様は,是非当事務所にご相談ください。