【解決事例】業務中の事故により負傷したことが法人の責任であるとして提起された訴訟を解決した例
ご相談のケース
介護施設において利用者が職員に暴力を振るい,職員が怪我しました。労災申請を行い,職員に対し労災給付がなされましたが,暴力事件が発生したのは介護施設の責任であるとして,労災給付で補填されない損害について賠償を求める訴訟が提起されました。
解決方法
法人は,従業員との雇用契約に基づき,従業員が安全で健康な環境で働くことができるように配慮する義務(安全配慮義務)を負っています。介護施設,病院,障害者施設等では,患者や利用者と職員との間で思わぬトラブルが生じることがありますが,このようなトラブルが生じないように普段から対策を講じ,かつ万一トラブルが生じた場合でも職員の安全を守るための体制が整えられていなければ,安全配慮義務違反により職員が被った損害を賠償する責任を負います。労災保険では補填できない損害が生じることも多くあり,職員が重篤な後遺障害を負った場合,あるいは死亡事故に発展した場合,会社は莫大な損害賠償を余儀なくされることになります。
上記訴訟では,介護施設が,利用者とのトラブル回避のために普段から職員に対し指導や研修を実施していたこと,トラブルが生じた場合に備え安全管理体制を整えていたこと等を主張し,介護施設に安全配慮義務違反がなかったという主張を行いました。また,職員が請求している損害の内容・額についても争いました。
上記訴訟活動の結果,職員の請求額を大きく下回る解決金の支払いで和解により解決しました。
担当弁護士の所感
介護施設等のみならず,会社でも思わぬ事故やトラブルにより従業員が負傷することがあります。トラブルが生じ,従業員から訴えられる前に,会社として従業員の安全や健康を守るために,普段から指導・研修を行っているか,安全管理体制等が整えられているか,見直す必要があります。パワーハラスメントの防止義務の法制化に伴い,安全配慮義務は会社がハラスメントの防止対策を十分に講じていたかという場面でも問題となります。会社の安全管理体制等について不安がある場合等,お困りのことがあれば,当事務所にご相談ください。
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